資本主義と環境保護は相入れないのでしょうか。
エコを売りにしているけれど、よく考えてみるとそうではない、という企業はたくさんあります。
そんな疑問を持った時、どのように対処したら良いのでしょうか。
今回は私のホテルでの「これってエコなのか?」と考えてしまった経験から、実際に電話で取り組みへの提言をした実体験について書いていきます。
泊まったのはスーパーホテル
1月某日、スーパーホテルというホテルに宿泊しました。
実は、スーパーホテルは「エコでロハス」なホテルを売りにしており、アメニティなど使い捨てのサービスを最小限に抑える努力をしているそうです。
私は以前にも何度か利用したことがあります。
必要十分なサービス内容とリーズナブルな値段が、「ホテルは寝るだけでよい」といった場合の状況にフィットしていて、安くて便利なホテルという印象でした。
スーパーホテルの「エコひいき」とは
今回は「エコひいき」と言う取り組みがあることを知りました。
以前は環境問題への関心が高まる前に利用していたので、気づかなかったのでしょう。
こんな取り組みです。
- チェックインの際に「翌日の清掃は不要」とフロントに言えば、ミネラルウォーターをプレゼント
- 朝食時にマイ箸を持参で、お菓子をプレゼント
- 部屋の歯ブラシを返却すると、お菓子をプレゼント
なぜエコな取り組みでペットボトルやお菓子などのゴミが出るものを採用するのか?と少し引っかかりましたが、それは私が今ゼロウェイストを実践しているからかもしれません。
それでも、取り組み自体は素晴らしいと思いました。
歯ブラシは持参していたので、フロントに返却。
笑顔でお菓子を差し出され、ゴミが出るとは言いつつも、嬉しくてちゃっかりもらいました。
箸はリユース可能なのに、カップは使い捨て?
翌日、意気揚々とマイ箸を持って朝食会場へ行きました。
私は「朝食には使い捨ての箸を使っているから、マイ箸を持ってきてね」という意味でこのエコひいきキャンペーンが行われているのだろうと思っていました。
しかし、朝食で使われていたのはリユース可能なプラスチックの箸。
それだけならまだ、洗浄のコスト等を下げるために行なっているのかと理解できます。
しかし、ドリンクバーを見ると使い捨ての紙コップが。
時刻は午前7時半、集まったたくさんの宿泊客が飲んだジュースやコーヒーのカップが、(多くは1度使われただけで)ゴミ箱に溢れんばかりでした。
私は混乱しました。
そこはマイ箸じゃなくてマイカップ持ってこいと言うべきじゃないのかい!!と。
何度も使える共用のお箸を尻目に、重度の潔癖症の人間のごとくマイ箸で朝食を食べ、苦渋の思いで紙コップの炭酸水を飲みました。
紙コップには、「原材料に間伐材を使用しています」とエコなアピールがしてあります。
その時、環境配慮に関して、スーパーホテルへの信頼は粉砕されてしまいました。
彼らは、「なんかエコっぽいこと」をしているだけなのでしょう。
お客様相談室に電話して提言をしてみた
スーパーホテルは「お客様相談室」というコールセンターを用意していて、苦情や提案を受け付けています。
私は文章を書くことは好きですが、即座のレスポンスに弱く対面でのコミュニケーションは苦手。
さらに電話となると相手に伝えられる情報が声のみになってしまうので、さらに苦手です。
でも、この現状をこのままにしていいのだろうか・・・
悲しい気持ちで飲んだ炭酸水の味が蘇ります。
ベア・ジョンソンの本にあるように、勇気を出して消費者として「声をあげて」みることにしました。
そう決めてから2日間くらいさらに悩み、やっと電話してみると、丁寧なオペレーターの女性が対応してくれました(ホッとした)。
- スーパーホテルをいつも利用させてもらっていること
- エコの取り組みに共感していること
を伝えた上で、
- 朝食バイキングのカップが使い捨てになっていることが気になる
- カップを使い捨てにするならば、マイ箸よりもマイカップを推奨すべきではないか
- ペットボトルやお菓子ではなく、ゴミが出ない特典を用意してはどうか
ということを話しました。震え声で。
「貴重なご意見ありがとうございます」と何度もお礼を言ってもらいました。
社内で共有するとのことでしたが、本当に共有され、改善に繋げてもらえるのかはまだ不明です。
エコ=費用削減ではない
エコを謳う企業は多いですが、それがどの程度徹底されているのかは外側からはわかりません。
でも、今回のスーパーホテルのように、企業の環境への姿勢にズレやポーズが感じられた場合、消費者は大きく失望してしまう可能性があります。
特に大きな企業になるほど、無駄を省き、コストを削減すること=エコ、と安直に呼んでしまうことが多いように思います。
しかし、利益目線を差し引いた場合に本当に地球環境のためになっているのか?
環境問題に関心の高い消費者を相手にマーケティングをしたいなら、彼らが目指している方向とズレが生じていないか、吟味する必要があるのではないでしょうか。
グリーンウォッシュに敏感になる
環境配慮をしているように装いごまかすことを、グリーンウォッシュと呼びます。
例えば、こんな例があります。
- 環境にやさしいパッケージで、「ピュアでナチュラル」と主張していたキンバリー・クラークのおむつの内側には、他の商品と同じ石油化学製品のゲルが含まれていた
- H&Mが「サステイナブルなファッション」として謳っていた「Consious」シリーズが本当にサステイナブルなのか疑わしいとしてノルウェー消費者庁に違法行為を指摘された
気候変動への関心が高まっている今、より環境に優しい商品やサービスを選びたいと思う消費者は少なくありません。
(本当はそうでないのに)地球に優しい、環境に優しいと謳って商品を買わせようとするグリーンウォッシュな企業は、日本でもこの先増えていくと思います。
消費者としては、商品を実際に買う前に調べたり、問い合わせたり、矛盾点に気づいたら提言をしたり、といった能動的な活動が必要なのかな・・・と、感じた出来事でした。