なるべくゴミを少なくするゼロウェイスト(ごみゼロ)な暮らしを目指しているgrunty(@zerowastegrunty)です。
H&MとForever21の全盛期に大学生活を送った者として、かつてはファストファッションブランドのメイン顧客でブイブイ言わせておりましたが、
環境への影響に思うところがあり服の数を減らした結果、「なるべくサステナブルなものを長く着たい」とスローファッションを目指すようになりました。
今回は、サステナブル/サステナブルでない服の素材について調べてまとめてみました。
※「優しい」「優しくない」の分類は、生地の特徴を踏まえた主観です。それぞれの服の製造工程はさまざまなので、参考程度にお考えください。
環境に優しい可能性が高い素材

あくまでも環境負荷という面からの評価であり、動物倫理・フェアトレードといった点は考慮していません。
また、安価な服でこれらの素材の使用を謳っていても、適切・倫理的に処理されていない可能性もあります。
アルパカ
- 暖かく、長持ちする
- 難燃性と耐久性の面でも優れている
- 草や植物の先端だけを食べる、硬い蹄がないという特徴から、牧草地へのダメージを抑えられる
- 毛色のバリエーションが多いので、染色のための染料や薬品・水の使用が少なくて済む
- ウールやカシミヤと比較すると油分が少なく、洗浄工程での水の使用も抑えることができる
- ラノリン(ウールなどに含まれる脂肪質の分泌物で、アレルギーを引き起こすことがある)を含まず低アレルギー性
竹
- 農薬を使わず育てやすい
- 地球上で最も成長スピードが速く、繰り返し栽培することが容易
- 製造の過程で多くの化学物質を使用する場合もある
オーガニックコットン
- 3年以上農薬や化学肥料を使わないで栽培された農地で育てられた綿花
- 通常のコットンに比べると生産にかかる水使用量が少ない
- 有毒な化学処理をしないため農家にとって安全
リサイクルコットン
- 工場で廃棄されていた綿の裁断くず、落ちわたを集めて裁断して作った糸
- すでに色がついているので染色の過程が不要
キュプラ
- 紡ぐには小さすぎる綿の廃棄物(コットンリンター)から作られる、シルクの代替品
- 洗濯機で洗うことができる(ドライクリーニングより環境に優しい)
- スーツの裏地などによく使われる
ヘンプ
- 冬は暖かく、夏は涼しく、洗うほど柔らかくなる
- 化学農薬を使用せずに簡単に栽培でき、たくさん収穫できる
リネン
- 原料であるフラックスの栽培は農薬をほとんど必要としない
- 汚れが染み込みにくく、天然の抗菌性がある
- ただし安価な服のリネンは化学処理されている可能性も
テンセル/リヨセル
- ユーカリ(木材)を特殊な溶剤で溶かして作られる再生繊維
- 溶剤は回収して再利用される
- 柔らかく、ソフトな風合いと光沢感
- 摩擦には弱い(毛羽立ちやすい)
エコニール
- ナイロンの代替素材
- イタリアの会社Aquafilによって開発されたリサイクル生地で、工業用プラスチック、漁網、海洋廃棄物などを使用
- 石油由来の通常のナイロンに比べてCO2排出量が最大90%削減可能
- ただし洗濯時にマイクロプラスチック流出の恐れはあり
ピナテックス
- パイナップルの葉の繊維から作られるレザーの代替品
QMONOS
- クモの糸から作られるシルクやナイロンの代替品
- 日本のベンチャー企業が開発
- 耐久性、軽量性、柔軟性に優れている
ラミー
- 綿と比べて最大8倍の強度
- 年に3〜4回収穫することができ、少ない水で栽培できる
- バクテリア、カビなどに耐性がある
- 除草剤や殺虫剤を使用せずに成長することができる
オーガニックシルク
- 殺虫剤や合成肥料などの処理、化学薬品を使用せずに作られる
大豆
- 大豆を食品に加工した際の副産物となる、大豆の殻が原料
- 柔らかく絹のような質感で、下着によく使われる
オーガニックウール
- 殺虫剤などの薬品を使用せず、人道的で好条件の農場で育った羊から刈り取ったウール
- 耐久性に優れている
環境に優しい?優しくない?グレーな素材

シルク
- 蚕によって作られる自然素材
- 水を大量に使い、製造工程で原料から製品になるのは約17%のみ
レーヨン
- 木材パルプに含まれている繊維質(セルロース)を薬品で溶かし、繊維に再生
- 製造の過程でさまざまな汚染化学物質や重金属を使用
- 製造中に発生する有害廃棄物の約半分は再利用できず、環境に悪影響
モーダル
- ブナの木から作られる再生繊維
- 綿より50%多く水分を吸収し、より早く空気中に放出する(=臭いがつきにくい)
- 染色の過程で有毒な化学物質が使用されることが多い
アセテート
- 木材由来のセルロースと酢酸で作られる
- メガネのフレームとしても使われ、石油由来のプラスチックよりも環境に優しく、肌に触れてもアレルギーになりにくい特徴がある
- 絹のような光沢とドレープ感
- 規制管理の不十分な工場で作られた場合、有害な化学物質が流出することも
環境に優しくない可能性が高い素材

アクリル
- 発癌性のあるアクリロニトリルを主要成分とする
- 洗濯でマイクロプラスチック流出の恐れ
- リサイクルしにくく、毛羽立ちやすい
カシミヤ
- 長持ちし、耐久性がある
- 近年の安価なカシミヤの人気により、過放牧や砂漠化が引き起こされている
- 化学薬品や発癌性染料で処理されていることが多い
- 環境に配慮したカシミヤはそれなりに高価。製造過程がクリアなブランドで購入がおすすめ
コットン
- 非常に多くの農薬を使い、農家の健康や地域の生態系に影響を及ぼしている
- 残留した農薬が皮膚に刺激を与える可能性も
- 土壌の質が悪く、大量の水を必要とする
ナイロン
- 石油由来の合成繊維
- 洗濯によるマイクロプラスチック流出の恐れ
- 製造時に亜鉛化窒素を放出(CO2の約300倍の温室効果)
ポリエステル
- アクリルやナイロンと同様、石油由来の合成繊維
- 洗濯によるマイクロプラスチック流出の恐れ
- ペットボトルなどからのリサイクルポリエステルの普及も進められているが、リサイクルのたびに質は落ちていくので限界がある
ウール
- 製造過程で多くの二酸化炭素を排出、水も大量に消費
- ダニやシラミを除去するために有毒な殺虫剤が使用される
- 適切に手入れをすれば長持ちし、100%ウールの服は生分解性
- オーガニックウールや、適切に飼育された羊で作られたウールを示す「責任あるウール水準(RWS)」マークを参考に購入すると良いかも
できる範囲で素材を選ぼう
今回調査をしてみて、コットンやウールなど、天然繊維が全て環境に良いわけではないということがわかりました。
とはいっても環境に優しいサステナブルな素材は、まだまだ高価なことが多いです。
素材を吟味するのも大切ですが、古着を活用したり、持っている服を大事に着ることも今すぐできるスローファッション。
新しい服が欲しくなった時に素材の選び方を頭の片隅に置いておくと、気持ちよく買い物ができるかもしれませんね。
今回の記事は以下のサイトを参考にしています。
New Classics-Fabric Dictionary
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