最近の酷暑、異常気象に対して急に危機感が湧いてきました。
環境問題や気候変動について調べ、個人レベルで何かできることはないかな?と考えているとき、「ゼロウェイスト」という言葉に出会いました。
ゼロウェイストとは?
ゼロウェイストとは、ゴミ問題に対する一つのアプローチ方法。
ゴミの処理方法に頭を悩ませるのではなく、「ゴミそのものを無くす」ことを目指す生き方です。
ゼロ・ウェイストとは、無駄・ごみ・浪費 をなくすという意味。
出てきた廃棄物をどう処理するかではなく、そもそもごみを生み出さないようにしようという考え方です。
「焼却・埋め立て・何でもリサイクル」がもたらしたのは、
資源の無駄遣いと有害物質による健康被害と水質汚染など環境への悪影響でした。
ゼロ・ウェイストは、そんな社会の仕組み自体を変えていこうとするものです。
ゼロウェイストは、ベア・ジョンソンという女性が書いた「ゼロ・ウェイスト・ホーム」という本がきっかけで世間に認知されるようになりました。
彼女はサンフランシスコ在住のフランス人女性で、夫と2人の子供と暮らしています。
この家族や彼女が特別なのは、1年間にだすゴミの量をわずか1リットルに抑えているから。
ベア・ジョンソンさんの限りなくゴミをゼロに近づけようとする暮らしぶりは、世界中の人々に影響を与え、欧米を中心にゼロ・ウェイスターと呼ばれる人々が増加中。
多くのゼロウェイスターが、YouTubeやブログなどでゴミを出さない工夫をシェアしています。
ミニマリズムや断捨離のように、日本でも注目を集める時期は近いのかもしれません。
ゼロウェイストには意味がある
ここまで調べてみて、私はこう思いました。
「なるほど。確かにゴミそのものが減れば、処理方法に悩まなくて済む。でも、ゼロウェイストってあえて不自由な生活を送ることで得られる自己満足みたいなものじゃないの?たったの1家庭がゴミを出さないってだけで環境に影響はあるの?」
そこで、私が危機感を持っていた気候変動とゴミの関係を調べてみました。
ゴミを減らすことが環境に与える意味
環境問題については散々小・中学校で勉強させられたはずなのですが、忘れていることも多くありました。
日本では、生ゴミや紙ゴミなどの「燃えるゴミ」は基本的に焼却処分されています。
これらのゴミを燃やすと、二酸化炭素などの温室効果ガスが発生します。
つまり、ゴミを減らすことで温室効果ガスを抑えられることは確か。
消費行動が変わることに意味
ちなみに、家庭ゴミそのものからの二酸化炭素排出量は、家庭全体のうちわずか3.5%程度。
これじゃゴミを減らしたところで大きな変化は起こせないのでは・・・?と思ってしまいそうです。
しかし、ゴミを出さない=使い捨てを避ける、無駄な消費をしない、今あるものを使う、という消費行動の変化につながります。
つまり、製品を生産するまでの資源、エネルギーを節約できるということ。
この考え方からすれば、ゴミを減らすことは温暖化防止に少なからずインパクトを与えます。
プラスチックゴミが環境に与える影響
また、最近問題になっているプラスチックゴミ。
日本ではかなり厳しく分別を求められることから、リサイクルされていると思われがちです。
しかし、実際に「モノからモノへ生まれ変わる」という意味でリサイクルされている(マテリアルリサイクル)のは、わずか1割弱。
約6割は「サーマルリサイクル」という名で燃やして熱エネルギーとして利用されています。
ちなみに、世界的にはサーマルリサイクルは「リサイクル」として認められていませんし、燃やしているわけなので当然ながら温室効果ガスが発生します。
https://forbesjapan.com/articles/detail/24796/1/1/1
残りのプラスチックゴミは東南アジアの国々にリサイクルという名目で輸出されていますが、実際は処理が追いつかずに海洋に流出してしまい、海洋汚染の原因になっています。
また、海岸などに打ち上げられて劣化したプラスチックからはメタンなどの温室効果ガスが発生することがわかっています。
ゼロウェイスターにプラスチックフリーな生活を目指す人が多いのも、このような背景からでしょう。
また、ゴミの埋め立て処理が主流の欧米では、自然に還らないプラスチックゴミを減らすことに焦点が絞られていることが多いです。
普通の人がやるから意味がある
ここで最初の疑問に戻ってみます。
確かに、ゴミを減らすこと自体には意味があるみたい。
でも、このような状況を鑑みても、たった1人がゴミを出さないという決断をしたところで、その結果は微々たるもの・・・でしょうか。
気候変動への対策が求められ、ゼロウェイストが静かなブームになりつつある今、企業も消費者動向を見逃すわけにはいきません。
パッケージフリーの商品や量り売りの食料品店が消費者から支持されるようになれば、そのような製品やお店が増えていきます。
人は自分に近しいと思われる人からの影響を受けやすいのだそうです。
ベア・ジョンソンの著作が、世界中に影響を与えたのも、彼女自身が家庭を持つ普通の女性だったからだと思います。
だから、「普通の学生」「普通のお母さん」「普通のサラリーマン」が、ゼロウェイストを心がけてみることは、長期的に見ればすごく意味があることです。
ゴミをゼロにすることは無理でも、「ゼロに近づける」暮らしは可能
私の場合は大人二人暮らしですが、毎週2回、20リットルの袋いっぱいの燃えるゴミを出しています。
ベア・ジョンソンさんの年間1リットルというゴミの量と比較すると、「とても無理!」と思ってしまいそうです。
しかし、ゼロウェイストの実践者たち曰く「そんなに難しくない」らしいのです。
日々の生活の中で、どうやったらゴミを減らせるかを少し考えてみる。
これまでまったく無意識に行なっていたことに新しい観点を加え、行動を少し変えるだけで、劇的にゴミは減っていくのだそうです。
さらに、ゼロウェイストはゴミを実際に「ゼロにする」訳ではなくて「ゼロに近づける」ことを目標にしています。
ゼロウェイストは誰からも強制されるものではありません。自分で自由に取り組んで良いのです。
ゼロウェイストの実践者たち
私が見つけたゼロウェイストの実践者たちをご紹介します。
全員がゼロウェイスターと名乗っているわけではありませんが、ゴミを減らす方法をシェアされています。
それぞれが工夫を凝らしていて、ちょっと楽しそう。
YouTube
Lauren Singer
ゴミの量を3年間でガラス瓶1個に抑えた驚異の女性。
彼女もベア・ジョンソンの著作に影響を受けてゼロ・ウェイストのライフスタイルを始めたそうです。
日本語字幕はありませんが、重曹を使って歯を磨く・服は古着を購入するといった、実践できそうなアイディアを話してくれています。
TOKYO VEG LIFE
日本でゴミを減らすためにできることを動画にしてくださっています。
ヴィーガンでもあり、美味しそうなヴィーガン料理のレシピも紹介されています。
私は肉大好きですが、畜産による環境負荷はけっこう大きいようで、ヴィーガンやベジタリアンの実践はかなり意味があることだと思います。
Lavendaire
アメリカ在住のYouTuberで、日本語字幕もあります。
スタイリッシュな映像とともに、ゴミを減らすためのアイデアを紹介。
量り売りを利用するなど、日本ではまだ難しいものもありますが、アメリカのゼロウェイスターがどのようにゴミを減らしているのかを見ることができます。
ブログ
パリ在住、アメリカ育ちの韓国人女性?によるブログ。
とてもおしゃれで素敵なゼロウェイスト生活を覗き見ることができます。
情報量も多いので、英語が苦でなければかなり参考になるはず。Google翻訳を使っても大意は読み取れますよ。
プラスチックフリーという観点から、役立つ情報を発信しておられるブログ。
蜜蝋ラップの作り方、歯磨き粉の作り方などを日本語で紹介されている貴重な記事がたくさんあります。
フィンランドのエコ情報を紹介されているブログ。
ゼロウェイストからローウェイストに移行した話など、ゼロウェイストの何が難しいか・どうすべきだったか、などが紹介されていて非常に参考になります。
ゼロウェイストの実践でクリエイティブになれる、かも
「わたしゼロウェイスターです」と堂々と言えるほどではありませんが、私も密かにゴミを減らすための工夫を始めました。
これが結構楽しい。
「このゴミはどうやったらなくせるだろうか」と考え、調べ、行動してみることは、消費や生活習慣を能動的に選択するきっかけになっています。
言葉は軽いですが、「娯楽」「マイブーム」と言っても良いかもしれません。
でも、そんな楽しいことが地球環境の維持に少しでも役に立つなら、こんな良いことはないかも。
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