この記事では、
「ゼロウェイスト的な服の買い方にはどんなものがある?」
「ゼロウェイスト生活の中で、いらなくなった服はどうすればいい?」
といった疑問にお答えします。
日本で廃棄される衣料品は年間100万トン
独立行政法人「中小機構」によると、日本では年間約100万トン(約30億着)の衣料品が廃棄されているそうです。
なぜ、こんなにもたくさんの衣料品が捨てられているのでしょうか。
以下のような原因が考えられます。
- 安く、品質の低いファストファッションの流行→服がダメになってしまい、長く着られない
- トレンドサイクルの短さ→まだ着られるのに、時代遅れに感じて捨ててしまう
アパレル・ファッション産業の温室効果ガスの排出量は、年間約12億トン。
特にファストファッションの流行の影響は大きく、2000年〜2014年のわずか15年間で洋服の生産量はそれまでの倍になりました。
一人当たりの服の購入量の平均は60%増加したものの、購入後の所有期間は半減したそうです。
https://www.businessinsider.jp/post-184628
この記事では、
- 環境負荷の少ない服の買い方・着方
から、
- 長く着るための手入れの仕方
- 着古した服の活用方法
までをご紹介します。
買い方:そもそも必要かどうかを考えてみよう
新しく服を購入する前に、そもそも本当にその服が必要かどうかを考えてみることが大切だと思います。
たとえ買おうとしている服のブランドが「エシカル」で、プラスチックをアップサイクルして作られた服だとしても、タンスの肥やしになるくらいなら買わない方がずっと環境への負荷が少なく済むからです。
3年間のゴミをガラス瓶1つにおさめたローレン・シンガーを参考に、買う前に以下のことを自問してみると良いかもしれません。
- 手持ちの5つ以上の服と組み合わせて着られるか?
- クローゼットの中に似たようなもの(代用できるもの)がないか?
- 「これを着ている自分」になるために買おうとしていないか?
また、家の中で使う小物程度のものが欲しいだけなら、自分で作ってみるのも一つの手。
私は使い古した靴下からハンドウォーマーを作ったりしています。
買い方:普遍的なデザインの服を買おう
流行はものすごい速さで移り変わります。
袖が長すぎたり、裾が短すぎたりといった、流行っているけれど実用的ではない服や、急にみんながこぞって着はじめたブランドなど、すぐに廃れることがわかっているものは買わない方が賢明です。
その代わり、
- ジャストサイズのものを買う
- 黒、紺、ベージュなどベーシックな色を買う
- 無地の服を買う
このような流行に左右されにくい服を購入することで、余計な出費を抑えられます。
ファッションが好きな方であれば「つまらん!」と思ってしまうかもしれませんが、もし5年以上着ている服があるなら、上記に当てはまる特徴があるのではないでしょうか。
華やかさが欲しければ、スカーフやアクセサリーなどの小物を活用すると良いと思います。
参考:女性用のワードローブ
書籍「パリのエレガンス・ルールブック」の中で推奨されている、女性向けの最低限必要なワードローブをご紹介します。
パリのオートクチュールで支配人として働いていた方が書いたもので、やや時代にそぐわない箇所はあるものの、無駄のないワードローブ作りをする上でかなり参考になります。
秋冬用
- 鮮やかな色のコート 1着
- コートと対になるスカート 1枚
- 黒のスカート 1枚
- 黒のセーター 1枚
- 合わせやすい色(例えばベージュや茶色)のセーター 1枚
- 襟ぐりの綺麗な黒か白のシルクのセーター 1枚
- 黒のハイヒール・パンプス 1足
- 郊外で履くヒールのない茶色の靴 1足
- 黒革のハンドバッグ 1個
- 真珠のネックレス 1本
春夏用
- グレーか紺の軽いウールのスーツ 1着
- 濃い色のブラウス 1枚
- 明るい色(例えばレモンイエロー、ターコイズ、ピンク)の無地のブラウス 1枚
- ブラウスと同じ素材のスカート(ブラウスと一緒に着るとツーピースになります。夏のバカンス用に最適) 2枚
ジーンズがないのが衝撃ですが、確かにこれらのアイテムがあればエレガントな装いはできそうです。
参考:男性用のワードローブ
男性向けのワードローブ・リストも記載しておきます(Pinterestで見つけた記事より)。
- 春夏用スーツ 1着
- 秋冬用スーツ 1枚
- 色や素材の異なるドレスシャツ 2〜5枚
- Tシャツ 5〜10枚
- ボタン付きのカジュアルな長袖シャツ 2枚
- ボタン付きのカジュアルな半袖シャツ 2〜5枚
- ポロシャツ 3枚
- セーター 3枚
- サイズの合うジーンズ 2本
- ショートパンツ 2本
- チノパンツ 2本
- スラックス 明るい色と濃い色の2本
- デニムジャケット 1着
- レザージャケット 1着
- ウールコート 1着
- トレンチコート 1着
- ドレスシューズ 1〜2足
- カジュアルシューズ 2足
- 運動用シューズ 1足
- サンダル 1足
買い方:お金を貯めて品質の良いものを買おう
ファストファッションで似たデザインの服があったとしても、少々値が張っても良い品質の服を買う方が長持ちします。
ただしTシャツやインナー類、消耗が激しいスポーツウェアなどは、安い服も高い服もそれほど品質に差はない・・・と(個人的には)思います。
生地が厚手のアウター類、縫製やシルエットが大切なワンピースなどで、5年後も着るという確信があれば、投資しても良いかもしれません。
私は2年前に奮発してブルックスブラザーズ(の、レッドフリースというお手頃ライン)のトレンチコートを購入しました。
お手頃ラインとはいえこんなに高い服を買ったのは初めてだったのですが、生地がへたらず、撥水性があり、何にでも合わせられて本当に重宝しています。
買い方:古着を買おう
まだ着られる古着を活用すれば、新品の服を買うよりもずっとエコです。
しかもお財布にも優しくて良いことづくめ。
おしゃれ古着店も多いですが、チェーン展開しているトレファクスタイル、ブックオフなどなら入りやすいし掘り出し物もたくさんあります。
ブランドものの古着が欲しければ、RAGTAGなどがおすすめ。
参考:古着の匂いを取る方法
一度重曹を溶かしたお湯につけ置いてから洗濯すると、古着独特の匂いもスッキリ。
アウターなど水につけるのが難しい場合は、使った後のお風呂場の中にしばらく吊るしてから天日干ししたり、スチームアイロンを当てたりすると蒸気が匂いを吸い取ります。
買い方:長持ちする素材の服を買おう
有名なブランドの服であっても、素材がよくなければすぐにダメになってしまいます。
個人的な意見としては、長持ちする(&お手頃な)素材は
- 綿(丈夫で長持ち、シワを伸ばして干せば綺麗に着られる)
- 麻(丈夫ですぐ乾く、夏の服に最適)
- ウール(暖かくシワになりにくい)
反対に避けたほうが良いと思っている素材は
- アクリル(特にセーターなど。暖かくないし、すぐに毛玉になる)
- レーヨン(なかなかシワが取れない)
など。
合成繊維が悪くて、天然繊維が良い・・・という訳ではないと思います。
私は猫を飼っているので、猫の毛がつきにくいポリエステル素材の服もよく着ます。
自分の生活習慣や好みに合わせ、スタイルに合う素材を探ってみてはいかがでしょうか。
着方:クリーニングに出すのは控えよう
コートやスーツを季節ごとにクリーニングに出すという方は多いと思います。
しかし、クリーニングは服の痛みの原因になる可能性があるため、どうしてもという場合以外は出すのを控えた方が良いかもしれません。
クリーニング店で行われる「ドライクリーニング」には石油系溶剤が使われていて、ウールなど動物性の素材に含まれる油分を必要以上に落としてしまい、本来の風合い、ツヤなどが失われる可能性があります。
また、ドライクリーニングでは油溶性の汚れ(皮脂、食用油、ファンデーションなど)しか落とすことができないので、水溶性(汗、果汁、肉汁、醤油など)の汚れにはあまり効果がないことが多いです。
もちろん、信頼できるクリーニング店があればこの限りではありません。
着方:自分でメンテナンスをしよう
クリーニングに出さないとなると、コートなどはどうやってお手入れをすれば良いのか・・・という話になりますが、日頃からのメンテナンスが重要になってきます。
ブラッシング
着終えたコートやスーツは、汚れが繊維の中に入り込む前にハンガーにかけてブラッシングをします。
1.繊維の流れに逆らうようにブラッシングして、汚れをかき出す
2.繊維の流れに沿ってブラッシングして、毛並みを整える
ブラッシングに使うブラシは、残念ながらヘアブラシで代用はできません。
馬や豚などの動物性の毛を使ったブラシが適しています。
値段はピンキリですが、無印良品などでもお手頃な価格のブラシが販売されています。
ニットなども定期的にブラッシングすると毛玉防止になります。
ボタンをなくさない
服を買うと、予備のボタンが付いてくることがあります。
保管場所を決めて、万が一ボタンが取れてしまってもすぐに付け替えることができるようにしておくと安心。
中には、予備のボタンはすぐに服の裏側の目立たないところに縫い付けてしまう・・・という人もいるようです。
再利用の仕方:リユースショップに持って行こう
もう着ない服の状態が良ければ、リユースショップに持ち込んだり、フリマアプリで売ってみましょう。
次の人の手に渡れば廃棄しなくて済むし、お小遣い稼ぎになるかもしれません。
再利用の仕方:細かく切ってウエスにして使おう
汚れていたり穴が開いたりしているなら、細かく切ってウエス(布巾)にしてみるのはいかがでしょうか。
特にTシャツは端の処理をしなくても綺麗に丸まるので、ウエスにするにはもってこいです。
私の場合、古着を使ったわけではありませんが、ハギレを使って布ティッシュなるものを製作しました。
洗って繰り返し使い、ティッシュの消費を抑えています。
再利用の仕方:非営利団体に寄付しよう
非営利団体に寄付するのも再利用の方法。
調べてみたところ、そのままボランティア地域の人々へと渡るわけではなく、服を販売してその利益を活動資金に充てる、というやり方が最近の主流のようです。
比較的手軽に寄付できそうなプログラムを2点ピックアップしてみました。
フルクル
フルクルは、認定NPO法人ブリッジエーシアジャパンが運営する古着リサイクルプログラム。
古着を送るとリサイクル業者に買い取られ、収益は団体のミャンマーやベトナムでの活動にあてられます。
詳しい活動内容は公式サイトをチェックしてみてください。
JENファッション・チャリティ・プロジェクト
国際NGO、JENと株式会社Wajaによるリユースプログラム。
JENは紛争や自然災害により厳しい状況にある人々への支援活動を行なっています。
服を送ると、wajaが運営するECサイト(FCP)で販売。売れた金額がJENに寄付される仕組みです。
服を送るには事前申し込みが必要なので注意を。
ゼロウェイスト・ファッションを楽しもう
ファッションは楽しいですが、そこにゼロウェイストの観点が加わると、もっと創造的な活動になるのではないかと思います。
今持っている服を大切にしながら、これから出会う服たちとも長く付き合っていきたいですね。