ゼロウェイストを実践する上で、「どんなシャンプーを使うか」は難しい問題ではないでしょうか。
市販のボトルシャンプーは長く使えそうもないプラスチック製だし、詰替用を使っても結局パウチのゴミが出てしまいます(しかも内側にはシャンプー剤がしっかりと付着していてリサイクルできない)。
今回は、
- ゼロウェイスターがよく使っている石鹸シャンプーと、その問題点
- 使い心地がよくてゼロウェイストなシャンプーはあるのか
について書いていきたいと思います。
ゼロウェイスト=石鹸シャンプー?
ゼロウェイストの実践者たちのブログやSNSをチェックしていると、やはり固形石鹸をシャンプーとして使っている方が多いようです。
紙の箱に入った石鹸ならパッケージのゴミも少なくなるし、一つあれば全身を洗うことができるのでとても便利。
けれど、石鹸は実は刺激が強く、肌の弱い人にとっては肌荒れの原因になることもあります。
そもそも、髪を洗うために作られているわけではないので、どうしても使用感が液体シャンプーに劣るという問題もあります。
石鹸は基本的に弱アルカリ性=髪のきしみの原因に
かくいう私も、シンプルケアを目指して&節約のために石鹸で髪を洗っていたことがありました。
シャンプーボトルを撤廃したことでお風呂のスペースはかなり広くなったのですが、やはり髪はゴワゴワ、キシキシになってしまいました。
石鹸シャンプーで髪がきしむのはなぜなのでしょうか?
石鹸は、ヤシ油やオリーブ油などの油脂に、苛性ソーダなどのアルカリ性の界面活性剤を加えて作られます。
なので、石鹸は基本的に弱アルカリ性。
一方、私たちの髪の毛のキューティクルは、弱酸性で閉じ、アルカリ性で開く構造になっています。
そのため、
石鹸が髪の毛に付着する
→キューティクルが開く
→ゴワゴワ、ギシギシに
このような事態になってしまいます。
また、石鹸自体の洗浄力もとても強いので、必要な皮脂も取り除いてしまい、結果として皮脂が過剰に分泌される頭皮になってしまう可能性もあります。
酢を使ってまでゼロウェイストしますか?
で、「石鹸をシャンプーとして使うとギシギシになる」という問題を解決するために、多くの人が取り入れているのが「お酢」「クエン酸」などをお湯で溶いてリンスとして使うというもの。
あらかじめリンス液を作っておいて髪にふりかけたり、洗面器に溶いて髪をすすいだりするのです。
お酢やクエン酸は酸性なので、アルカリ性の石鹸で開いてしまった髪の毛のキューティクルを閉じるのに役立ちます。
私も石鹸でシャンプーをしていた時、お酢をお湯で溶いてリンスにしていました。
確かにお酢でリンスをすると、ギシギシになった髪もサラサラに戻ります。
でも、当然ながらあまり良い匂いではありません。(クエン酸を使えばお酢臭はなくなるとは思いますが・・・)
当時ジムに通っていたのですが、お酢の匂いをジムの大浴場に拡散させてしまったこともあります(居合わせた方、本当にすみませんでした)。
石鹸をシャンプーとして使うという試み自体は、とても良いと思います。
石鹸は生分解性に優れているので環境に優しいし、クエン酸やお酢もそうです。
ただ、お酢やクエン酸を使わなければならない以上、決して利便性に優れているとは言えません。先に述べたとおり、石鹸は頭皮にとって刺激が強いという問題もあります。
別にゼロウェイストを実践するからといって、美容や利便性を我慢する必要はないのではないかと個人的には思うわけです。
今後ゼロウェイストを実践しようとする人が増えるならば、もっと楽で髪に優しい方法があった方が広まりやすいはずです。
そこで、ゼロウェイスト的なシャンプーの最適解を探ってみることにしました。
案1:弱酸性の固形ソープ
そもそも石鹸がアルカリ性だから髪のきしみが起こり、皮脂を取り除き過ぎてしまうわけで、弱酸性の固形石鹸を使えばこの問題は解決するはずです。
しかし、石鹸=アルカリ性は業界の常識らしく、調べてもなかなか出てきません。
お値段がお手頃で、ドラッグストアなどでも手に入り、弱酸性を謳っている商品としては
ミノンのミノンスキンソープがありました。
主成分は、
パーム脂肪酸グルタミン酸Na
というアミノ酸系界面活性剤。
洗浄力は普通の石鹸に劣りますが、頭皮に優しく、弱酸性なので髪の毛のきしみも抑えられるはずです。
乾燥が気になる場合はお風呂上がりにオイルなどで保湿すると良いかもしれません。
開封の様子を掲載しているブログを調べたところ、紙の箱に紙で包まれて入っているようで、プラスチックフリーな包装のよう。
もちろん体も顔も洗うことができるので、うまくいけばこれ1本で済むかもしれません。
今使っているエティークのシャンプーバーがなくなったら、実際に使ってみようと思います。
案2:シャンプーバー
私は現在、エティークのシャンプーバーを使用しています。
シャンプーバーとは、シャンプー用に作られた固形の洗剤のこと。
日本にはほとんどありませんが、ラッシュの紫ショックなどは有名かもしれません。
ただ、これらのシャンプーバーには刺激の強い成分が配合されているのが少し気になります。
※ラッシュ公式サイトで弁解(?)がありました。(ラウリル硫酸ナトリウムについて)
https://jn.lush.com/article/dont-stress-about-sls-0
これらのシャンプーバーは、中性〜弱酸性の洗浄剤になっていることが多いため、石鹸を使った時のような髪のきしみは抑えられます。
私が使っているエティークのシャンプーバーの使用感も下に書きましたので、よかったら参考にしてみてください。
案3:アルミニウムボトルのシャンプー
ゼロウェイスト運動が盛んな海外では、再生利用可能なボトルのシャンプーも登場しています。
例えばアメリカ・PlaineProductsのシャンプーとコンディショナー。
ボトルの素材はアルミニウムで、使い終わったボトルを郵送すると洗浄して再利用してくれます。
残念ながら日本ではアルミニウムボトルのシャンプーは発売されていないようです。
しかし、アルミ缶のリサイクル率は日本国内では7割にも上ります(飲料用のみのデータですが)。
http://www.alumi-can.or.jp/publics/index/65/
繰り返しのリフィルが難しくても、プラスチックボトルをアルミニウムに変えられたら、詰替用パウチを買って焼却するよりも良いかもしれません。
ニュージーランドのサステイナブルブランド、エティークのシャンプーバー
ここで、私が使っているエティークのシャンプーバーの使用感について書いていきたいと思います。
エティークはニュージーランドのブランドで、プラスチック撤廃を目指したシャンプーバーとコンディショナーバーを販売しています。
かなり環境配慮に力を入れているようで、毎年、利益の20%は環境団体に寄付しているそうです。
パーム油もフリー(パーム油を収穫するためのプランテーションによる森林伐採が問題になっているため)。
また、クルエルティフリーのため動物実験も行なっていないとのこと。
主原料はフェアトレードのサモア産オーガニックココナッツオイルとカカオバターだそうです。
成分表示を見てみると、シャンプーバーの主成分はココイルイセチオン酸Na、ココアルキル硫酸Na。
このココアルキル硫酸Naがちょっと曲者で、植物由来ではあるものの、基本的にはラウリル硫酸Naと同じくらい刺激が強い成分のようです。
で、固形シャンプーでもあるので、かなり高配合なのではないかと予想されます。
そのため、使う場合は水でしっかりと薄めて泡立てる必要があるかと思います。
私はノーマルヘア用のシャンプーバー「ピンカリシャス」と、コンディショナーバー「ワンダーバー」を購入しました。
「ピンカリシャス」は、頭皮の保湿のためにココナッツオイルやカカオバターが高配合されているとのことです。
他にも髪の状態に合わせた多くの商品があり、好きなシャンプーバーを選ぶことができます。
プラスチックフリーなパッケージ
通販も利用できますが、私はコスメキッチンで購入しました。
紙の箱に、紙の包装紙に包まれて入っています。
このパッケージも生分解性にこだわっているのだそう。
大きさは一般的な石鹸に比べるととても大きい110g。
これ一つでシャンプー350ml×3本と同じ使用量になるそうです。
シャンプーバーで約3ヶ月、コンディショナーバーで約4ヶ月使えるようです。
私の場合はショートヘアなので、もっと長く使えるかもしれません。
一つ3000円近くするので結構高いですが、長持ちすると思えばよいのでしょうか。
コンディショナーバーの方は、シャンプーバーよりも若干小さめです。
好き嫌いが別れる濃厚な香り
まず気になったのは香りでした。
ココナッツの濃厚な香りがお風呂場いっぱいに広がります。
残念ながら、90年代のヤンキー風というか(ココナッツのお香とかオイルとか焚いてませんでしたっけ)、こってりしすぎていて個人的にはあまり好みではありません・・・
公式の説明では、ピンカリシャスの香りは「ピンクグレープフルーツ」のはずなのですが・・・
主原料のココナッツオイルの香りが強すぎるのかもしれません。
ちなみに、
ヒーリキウィ:ライム
スイート&スパイシー:スパイシーオレンジ&バニラ
ミンタジー:ミント
ピンカリシャス:ピンクグレープフルーツ
ワンダーバー:ココナッツ
ガーディアン:ライム
こんな感じで香りがわかれているようなのですが、この感じからすると、恐らく「全部ひとしくココナッツの香り」になっていると思います。
洗い上がりはさっぱり、きしみも少ない
少量を手にとって、あわ立ててから地肌につけていきます。
泡立ちは控えめですが、石鹸で髪を洗った時にありがちな「泡をつけた瞬間からギシギシする」といった感覚はありません。
とても柔らかく頭皮に滑り込んでいく感じです。
お湯で洗い流すと、根元に若干のきしみというか抵抗感を感じるものの、通常のシャンプーと同じようにさっぱり、しっとりしました。
コンディショナーバーは画期的!
続いてコンディショナーバーを使用します。
濡れた髪に直接コンディショナーバーを擦り付けていきます。
こちらもシャンプー同様ココナッツの香り(嬉しくない)。
ただ使用感はとてもよく、髪がつるりとまとまる感じがしました。
洗い流してみても、市販のコンディショナーと遜色ない仕上がり。
エティークがユニークなのは、シャンプーバーと合わせてコンディショナーバーも発売しているところにもあると思います。
(シャンプーバーのみで完結してしまっている商品が多いので)
このコンディショナーバーは画期的な商品ではないかと感じました。
パッケージフリーを目指しながら、消費者の「髪をしっかりケアしたい」という欲求も大切にしているからです。
「サスティナブルでいながら、きちんと結果を出すことのできる製品を市場に届けることを目的にしている」というエティークのブランド理念を私は支持します。
ストイックだと思われがちなゼロウェイスター。
ストイックであることが楽しいという部分もあるかもしれませんが、多くの人が実践していくためには、このような商品が本当にもっともっと必要だと思います。
ゼロウェイストなシャンプーを探して
まあ究極の解決策はシャンプーを使わないことなんですけどね!
でも湯シャンは髪の状態が安定するまで3年はかかると言われていますし、上記のような商品を使いながら、段階的に湯シャンに移行していくのも良いんじゃないかと思います。
(2021/4/9追記)結局、1年かけて湯シャンに移行しました。
→【画像ありブログ】楽ちん湯シャン/ノープー生活の始め方・やり方。3日に1回、週2回の洗髪でOK
慣れてしまえばとても快適です。
One comment